世界の最長河川中心に探険中!探険家よっしいのブログ

探険、冒険大好き人間、世界の最長河川中心に探険中! 探険・冒険大好き人間 中でもアンデス・アマゾンに惹かれる。 好きな食べ物はラーメンとカレー 好きな音楽はラテン

2012年06月

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動画あり、↓クリックです!!

ネルーダ・ぶどう酒
1971年にノーベル文学賞を受賞したチリの国民的詩人であり
反ファシスト活動家でもあったパブロ・ネルーダ
彼の詩集の中に「ぶどう酒」という詩がある。
それは大地の恵みを皆で飲み、そして歌おうという、祖国や民衆に思いを馳せた高らかな叫びの詩。
彼は外交官、政治家でしたが、大衆のために働く詩人としての使命を抱いていた。
1973年9月11日、反革命軍事クーデターが起こるなか、捕らえられ病死した。
 
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まあ、一杯どうぞ!!
 
春のぶどう酒……秋のぶどう酒
仲間よ おれといっしょに テーブルをかこもう
秋の彼岸の 木の葉の散りかかる テーブルを
すると この世の大きな流れは
ざわめきながら 遠のいてゆく
おれたちの歌ごえから 遠く

おれは きみのよい仲間なのだ(中略)

栗の実や 薔薇や
木の根のやすらぎや 帆船のこころよさを
仲間よ それらをこそ
おれは きみと分かちあいたかったのだ

仲間よ いっしょに歌おう コップがひっくりかえり
テーブルのうえに 赤い酒が流れるまで
この蜜は 大地から ほの暗い枝の中をとおって
きみのくちもとへと やってきたのだ
(中略)
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  ノーベル文学賞受賞詩人ネルータ写真
 
握手しよう また会おう
うんと素朴になって おれのことばのなかに
裸の草木の発散するものだけを 探してくれたまえ
なぜきみは 労働者に要求する以上のものを
おれに要求するのだろう?
きみはもう 知っているはずだ
おれが一生懸命に働いて 地下の仕事場を
つくりあげたのを
(中略)

おれたちは ぴりっとする大地の酒をのんで
歌おう 秋のコップをかちあわせよう
ギターや 静けさが運んでくるだろう
愛の歌を 生活のない流れのことばを
もてはやされる 意味もない歌を

  探検生活は文明に切り離された地で行うことになるので、情報社会から隔絶された世界を日常的に過ごし、楽しみと言えば読書となる。
  そんな生活の中で、丸山薫のこんな詩を見つけた。
  探検生活者の心に沁みます!!!
 
 
 狼群

        狼の群が旅人を追っていた
     日没になると かれらは
     野営の焚火(たきび)をとりまいて迫った

     旅人は薪(まき)を投げて防いだが
     朝になると
     犬が一頭ずつ姿を消した
     犬の仲間に紛(まぎ)れこんできた
     犬とも狼とも見分かぬ獣達が
     しだいにその数を増してきた
     かれらは唸(うな)り 噛(か)み合い 牙を剥(む)いてぶつかり合い
     橇(そり)はかれらに導かれ 曳(ひ)かれて
     雪の曠野を走りつづけた
     ――犬はさらわれて狼になったろうか?
     ――狼は繋(つな)がれて犬になったろうか?

     ともあれ この思考は
     私の頭を痛くする


               (詩集『花の芯』から)
 
 未来へ


        父が語った
     御覧 この絵の中を
     橇(そり)が疾く走っているのを
     狼の群が追い駈(か)けているのを
     馭者(ぎょしゃ)は必死でトナカイに鞭(むち)を当て
     旅人はふり向いて荷物のかげから
     休みなく銃を狙(ねら)っているのを
     いま 銃口から紅く火が閃(ひらめ)いたのを

     息子が語った
     一匹が仕止められて倒れたね
     ああ また一匹躍(おど)りかかったが
     それも血に染まってもんどり打った
     夜だね 涯(はて)ない曠野(こうや)が雪に埋れている
     だが旅人は追いつかれないないだろうか?
     橇はどこまで走ってゆくのだろう?

     父が語った
     こうして夜の明けるまで
     昨日の悔いの一つ一つを撃ち殺して
     時間のように明日へ走るのさ
     やがて太陽が昇る路のゆくてに
     未来の街はかがやいて現れる
     御覧
     丘の空がもう白みかけている

               (詩集『涙した神』から)

 
 丸山 薫(まるやま・かおる)
   明治32年(1899年)、大分県に生れる。
   幼少時は、父の転任に従って地方を転々としたが、冒険
   小説を愛読し、中学時代にはキングスレイやスティヴン
   スンに熱中した。

   高等学校に入ると唯美主義文学に惹かれ、ポーやワイル
   ド、潤一郎、春夫、朔太郎を耽読した。豊橋中学を卒え、
   東京高等商船学校に入学したが、健康を害して退学。
   志を転じて、三高より東大国文科に学び、再び中退する。
   東大在学中、第9次「新思潮」に参加、のち「椎の木」
   の同人となるにいたって新しい抒情詩の方向を辿る。
 

ラテンアメリカは大航海時代のスペイン、ポルトガルに発見され植民地化されて今日に至っているので、良かれ悪しかれ、この両国の影響を今でも引きずっている国々がほとんどである。
この両国の好みがラテンアメリカ人気質にも反映して、ロルカはラテンアメリカ人には人気のある詩人である。
彼は、多芸の人で音楽家、ピアニスト、画家等も兼務し、その才能を発揮した。
今回紹介するロルカの『ジプシー歌集』は彼の一番有名な詩集で、当時はAKB程度の人気を誇り、スペイン全土で、連日最高売上記録を更新したという。
ジプシーは「エジプトからやって来た人」という意味の「エジプシャン」の頭音が消失した単語である。
インド起源の移動型民族で一般にはヨーロッパで生活している。
ロルカの故郷であるグラナダには大勢のジプシーが生活していたので、グラナダやマドリッドではとりわけ絶賛され、普段詩を読まない人々にも巷で朗読されるほどだった。
 このジプシー歌集はボードレール『悪の華』、ランボー『地獄の一季節』などと並び世界中に研究者を多く擁しているという。
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『ジプシー歌集』から代表作
夢遊病者のロマンセ
 
緑色わたしの好きな緑色。      Verde que te quiero verde.
緑の風、緑の枝よ。           Verde viento. Verdes ramas.
海の上には船。             El barco sobre la mar
山の中には馬。             y el caballo en la montana.
腰には影をおき、            Con la sombra en la cintura
娘には欄干で夢を見る。        ella suena en su baranda,
緑の肉体、緑の髪、          verde carne, pelo verde,
冷たい銀色の眼、            con ojos de fria plata.
緑色わたしの好きな緑色、       Verde que te quiero verde.
ジプシーの月の下で           Bajo la luna gitana,
物みな娘を見つめているが、      las cosas le estan mirando
娘にはそれらを見ることができない。 y ella no puede mirarlas.

緑色わたしの好きな緑色。
大きな霜の星々は
影の魚をつれて来るが、
魚は夜明けの道を開く。
いちじくの木は
枝のやすりで風をこすり、
泥棒猫の山は、
とがった刺をさかだてる。
しかし、誰が来るのだろう? そして何処から……
娘はなおも欄干で、
緑の肉体、緑の髪
苦い海の夢を見る。
 
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