世界の最長河川中心に探険中!探険家よっしいのブログ

探険、冒険大好き人間、世界の最長河川中心に探険中! 探険・冒険大好き人間 中でもアンデス・アマゾンに惹かれる。 好きな食べ物はラーメンとカレー 好きな音楽はラテン

2014年11月

 満漢全席(まんかんぜんせき)とは清朝の乾隆帝の時代から始まった満州族の料理と漢族の料理のうち、山東料理の中から選りすぐったメニューを取りそろえて宴席に出す宴会様式である。
 
 後に、広東料理など漢族の他の地方料理も加えるようになり、西太后の時代になるとさらに洗練されたものとなった。
 盛大な宴の例では途中で出し物を見たりしながら、数日間かけて100種類を越える料理を順に食べる場合もあったと言われる。しかし、清朝が滅亡するとこのような贅を尽くすことはなくなり、宮廷内の料理人は四散して料理の伝統が途絶えたとされる。
 満漢全席の中でも一部の料理については宮廷内の料理人が伝え一般的になっているものもあるが、現在、中華料理店で出される満漢全席といわれるものの多くは宮廷と無縁の料理人が資料に基づいて、あるいは想像を膨らませて調理したものが多いとされる。
 
 満漢全席には山・陸・海などから珍味を8品ずつ集めて「32珍」と定義したものがある。
以下はその一部である(括弧内は繁体字)。
 
 


海八珍

 
◆魚翅
 フカヒレ。中でもウバザメやジンベイザメのそれは天九翅と呼ばれ、繊維一本がモヤシより太い最高級品。四大山海珍味の一。

 
◆燕窩
 アマツバメが自らの唾液腺からの分泌物で造った巣。実は海藻は殆ど含まれない。古代中国では訓練した猿に布袋を持たせ採取させたと云う。

 
◆魚骨
 チョウザメの軟骨。唐揚げにすると全部バリバリいける。

 
◆魚肚
 魚の浮袋。

 
◆鮑魚
 アワビ。乾燥品は超高級食材。

 
◆大烏参
 黒ナマコを乾燥させたもの。四大山海珍味の一に数えられる高級品。
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◆海豹
 アザラシ。2011年初頭、中国へのアザラシ肉輸出を決定したカナダに対し中国の動物愛護団体が「中国人が何でも食べると思ってるのか、これは人種差別だ」と唱えたのは記憶に新しい。

 
◆狗魚
 オオサンショウウオ。日本でも「半裂き」と呼ばれ、古くから食されてきた。現在口にする事は難しい。



草八珍

◆猴頭菌
 ヤマブシダケ。ケセランパサランっぽい茸で漢方でも重宝される。鶏ササミのような独特の食感と風味が特徴。四大山海珍味の一。
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◆羊肚菌
 アミガサタケ。茸の皇帝と呼ばれ、中国に古くから伝わる『薬食同源』の考えを表す茸。

 
◆竹笙
 キヌガサタケ。茸の女王と呼ばれる、高い中国料理によく入ってるスポンジ状のアレ。下処理をしてない状態のものはくっさい。

 
◆花茹
 シイタケ。今や庶民の味。噛むほどに豊かな味が出る干椎茸の破壊力は抜群。

 
◆銀耳
 乾燥させた白キクラゲ。プリップリの食感が病み付きになる。不老長寿の力があるとして重宝された。

 
◆黄花菜
 金針草とも呼ばれる。漢方でも重宝されるワスレグサ(カンゾウ)のつぼみ。

 
山八珍

 
◆駝峰
 ラクダの背瘤。脂肪の塊であり、言わば超濃厚ホルモン。意外とネットで簡単に手に入る。

 
◆熊掌
 熊の掌(肉球)。日本でも割に食される。プリップリの脂ギッシュで前脚の方が旨い。四大山海珍味の一つ。
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◆鹿筋
 鹿のアキレス腱。プリップリのプリ旨。

 
◆猩唇
 オランウータンの唇。プリ旨だったとか。今や正規ルートでは口にできない代物。

 
◆彪胎
 豹の胎児。

 
◆犀尾
 サイの尻尾……ではなく、サイのペニス。象に次いで陸上第二位の巨獣の性器は満点の精力剤。これも今では食するのは至難の業。

 
◆象拔
 象の鼻。中国国内では稀にだが未だに乾燥品を目にする事ができるとか……。

 
◆猴頭
 猿の脳。 縛って拘束した猿を中心に穴の開いた卓に入れ、頭蓋に開けた穴から生きたまま直にすくって食べる のが古流。お好みで味噌、胡麻油、辣油などを混ぜ込むのもまた一興。とろりとした舌触りにピリッとした薬味が溶け合い絶妙だとか。今でも結構食べられる場所は多いが、衛生上さすがに生食は少なくなっている。


 

 中華料理
 
 多彩な技法や味のバラエティーを持ち、世界三大料理の一に挙げられている。
 ヨーロッパ全体に匹敵するほどの広大な国土を持ち、地理的、気候的条件が各地で大きく異なる中国では地方ごとに食材が異なり、また、漢民族に同化していった、もしくはかつて漢民族を支配した多彩な民族を基層としているため、その調理法や味付けも地域差が大きい。
 このため、中華料理に共通する性格を挙げることは難しいが、元代以降の中国では火を加えた温かい食事をとることが重視されてきたため、中華鍋を使い、日本料理や西洋料理に比べて強い火力を用いる炒め物が目立ち、油(ラード、ゴマ油など)を多用する料理が多いという傾向がある。
 逆に生野菜の使用や冷たい料理は少ない(伝統的な料理では涼麺、粉皮、杏仁豆腐程度)。魚介類については、全体的にみて淡水魚が使用される傾向が強い。
 
 八大菜系(八大中華料理)という地域分類が最も一般的に用いられており、以下のものを指すことが多い。
山東料理江蘇料理浙江料理安徽料理
福建料理広東料理湖南料理四川料理
 大雑把な四大菜系で分類するとこうなる。
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麻婆豆腐
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挽肉と赤唐辛子・花椒(山椒の同属異種)・豆板醤(豆瓣醤)などを炒め、鶏がらスープを入れて豆腐を煮た料理
 
青椒肉絲
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ピーマンと細切りにしたなどを炒めた料理
 
棒棒鶏
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蒸し鶏に芝麻醤などゴマのソースをかけた四川料理

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                セネシオの繁茂するルェンゾリ(月の山)

 

 ナイル河には三箇所の源流地点がある。
 一つ目は、1862年に、探検家スピークが発見したビクトリア湖から流れでる川の最上流地点である。そこにはナイル河源流の碑が建てられている。この地点は、一般的にはナイル河の源流として大多数の人々に受け入れられている。
 
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                        ↑ナイル河源流の碑

 
 歴史的には19世紀まで、プトレマイオス(2世紀)の古地図に記された、月の山脈(Lunae Montes)から流れ出した小川が2つの湖にたまり、そこをナイルの源流とした学説が、二つ目の源流地点として長い間多くの人々の間で信じられていた。
 
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                   ↑プトレマイオス(2世紀)の古地図

 現在では、ウガンダとコンゴの国境に位置するルェンゾリ山群がプトレマイオスの記した月の山脈Lunae Montes)であるとされている。
 二つ目の源流地点(ルェンゾリ山群)は、探検家スタンリーによって1889年発見された。

 三つ目は、ビクトリア湖に流れ込む川にこそ源流があるとしてビクトリア湖流入河川中最大の川「カゲラ川」を遡上した探検家カントによって発見された。
 そこは、カゲラ川支流「ルヴィロンザ川」の源流地帯、ブタレ近郊のルカララの沢、そこには「ナイルの源」と記され小さなピラミッドが建てられている。
 
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                  ↑赤マーク点がブタレ近郊のルカララの沢

 この地点から地中海河口までが6695kmとなり、ナイル河の河川延長距離の最源流計測地点となっている。
 

 
 一つ目の源流は、先回踏破した。
 残る二つの源流を、今回は目指したい。
 ナイル河2つ目の源流であるルェンゾリ山群は、万年雪の氷河を頂く山である。
 
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                   ↑万年雪のルェンゾリ山頂付近

 ルウェンゾリはキリマンジャロ山とケニア山に続き、アフリカ第3の高峰。
 この山地は、寒気と豊富な降水量で出来た広大な氷河があり、ここから流れ出る水により、赤道直下にもかかわらず、毎年豊かな実りがもたらされていた。
 しかし、地球規模の温暖化の影響で、氷河の面積は20世紀の間に84%も縮小、氷河は十数年以内に消滅してしまうと予測されている。

 ルウェンゾリ山群の麓に、バコンジョ族(人口40万ほど)バアンバ族(人口2万ほど)と呼ばれる先住民が住んでいる。
 
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                     ↑髪を結いあうバコンジョの女たち

 豊富な食料のもと、彼らなりの豊かな生活をしていたが、氷河の縮小は、長期間に及ぶ干ばつをもたらし、作物生産量のが減少による飢饉(ききん)が多発、急激な温暖化は生態系を歪め、高地でのマラリア感染まで広めた。
 バコンジョの宇宙論では、雪はナズルル(Nzururuと呼ばれ、神である。
 この神の子がキタサンバ(Kitasambaで、氷河で覆われた山の峰に住み、自然環境とバコンジョ族の生命を支配する巨大な力となって君臨している。
 ここでは、バコンジョ族が欧米文化を取り入れ、伝統的な習慣を忘れていったことにキタサンバが激怒、その結果氷河の後退が起きたと考えられている。
 
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                          ↑減少する氷河

 実際には、急激な人口増加による大規模な森林破壊が最も大きな原因と考えられている。
 ツチ族とフツ族の紛争によりブルンジ、ルワンダの難民が大挙してこの地になだれ込み、樹木は薪となり、動物は食べ物となり、赤道直下の奇跡にも似た豊かな土地に、飢餓が日常的に蔓延した。
 
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               ↑紛争により大量殺戮されたフツ族の頭蓋骨の山
 

 日本漫画界の神として君臨した手塚治虫の代表作に『ジャングル大帝』というのがある。
 白いライオンとしてナイル源流域に君臨した「ジャングル大帝レオ」、あの作品の舞台となったのが実はルェンゾリ(作品中には、一年中雪に覆われたムーン山として登場)
 
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                  ↑「ジャングル大帝レオ」の雄姿

 レオは物語のラストで、探検隊の道案内を引き受けてムーン山へ登った。
 このレオにも似た王国が、かって、ここにあった。
 バコンジョ族やバアンバ族からなり、独立宣言までした「ルウェンズルル王国」だ。
 
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         ↑赤がトロ王国、緑の枠に囲まれた部分がルウェンズルル王国

 ルウェンゾリとは「雨の山」という意味だが、ルウェンズルルとは「雪の山」という意味。 神の子「キタサンバ(Kitasamba)」の復活である。
 「ルウェンズルル王国」はウガンダとトロ王国からの独立を宣言、1963年2月13日から1982年8月15日まで独立戦争を行った。(アミン大統領時代のこと。)

 ナイル河二つ目の源流地は、絶対に行きたい場所だった。

 ウガンダの首都カンパラから登山基地の町カセセへ、そして登頂出発の地となる「イバンダ村」に到着した。
 
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                      ↑イバンダ村の子どもたち

 「イバンダ村」は山麓に点在するふつうの村で、バナナやキャッサバを育て、牛や山羊(やぎ)などの家畜を追う暮らしをしている。
 登山者にはガイドの雇用が義務づけられ、バコンジョの貴重な現金収入となる。
 僕の現地ポーターは、現職教師のエレナ・ピーター34歳、ひとりの妻と3人の子持ちだ。
 飄々として、それでいて頼りになった。

 僕はジャングル大帝のレオを気取り、月の山の頂きを目指し、相棒のピーターと登山を開始した。
 4日目、彼と、あたり一面コケと6mにもなるヒースで覆われた、太古の森のような風景の、泥沼の熱帯雨林を抜ける。
 
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                    ↑こんな感じの森が続いた・・・

 5日目、突然ジャイアントロベリアが眼前に出現、別世界のような湿原風景となった。
   
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                       ↑ジャイアントロベリア

 更に翌日は、ジャイアントセネシオが登場し、幻想の世界に迷い込んだかと真面目に疑う程の桁外れの風景の中、ブシュク湖畔に到達、ブジュク小屋に泊まった。(ここまでで6日かかった。)
   
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                       ↑ジャイアントセネシオ

 翌日は、エレナ氷河の末端から流れ出る、ナイル河最初の一滴となる地点に辿り着き、最源流の大河の一滴を一気に飲み干した。美味かった。(ナイル河第2の源流を制覇!!)
  
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                        ↑エレナ氷河の末端

 その日はエレナ小屋に泊まり、翌日、最高峰のマルガリータ峰(5109m)に登頂した。
 
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                      ↑マルガリータ峰頂上です。

 頂上に、ルウェンズルル王国の旗を立ててやった。
 
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            ↑白丸は雪を表し、お猿さんは「不可侵の領土」を象徴する。

 プトレマイオス時代からの憧れの山を、とうとう制覇した。
   
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                     ↑マルガリータ峰からの絶景

 

 
 三つ目の源流、そこから地中海河口までが6695kmとなり、ナイル河の河川延長距離の最源流計測地点となる場所は、ブルンジという国にあった。
   
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                     ↑町を警備中のブルンジの兵士

 「カゲラ川」を遡上した探検家カントによって発見された「ルヴィロンザ川」の源流地帯、ブタレ近郊のルカララの沢。
 案内書のとおり、そこには「ナイルの源」と記され小さなピラミッドが建てられているという。
 ただ、ツチ族とフツ族による内戦により命の補償ができないとのことで、今回はいけなかった。(少々心残りではあるが・・・)
 個人的な意見だが、やはり一番源流に相応しい地は、プトレマイオスの時代からの月の山脈(Lunae Montes)、ルェンゾリ山群だったね。

 
 ここで、問題です。
次のうち、アフリカ最貧国(世界一の最貧国)であるブルンジのことを記載してあるのは何番ですか。正解は一つだけ。番号をコメント欄に。

① 首都はドドマである。

② 現在の大統領は、ポール・カガメである。
③ フツ族のツチ族に対する大量虐殺があった。
④ 山岳と起伏の激しい高原のため“アフリカのスイス“と呼ばれている。

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                           ↑これは「ハンガーマップ(Hunger Map)」という世界地図です。
 
 地図の色分けの意味は次の通りです。
 緑色・・・十分に食料がある国(平均寿命の長い先進地域)
 黄色・・・とりあえず食料がある国(それなりの国々)
 赤・・・著しく食料が無い国(平均寿命の短い後進地域が多い。アフリカは、ほぼここです。)
 

 ウガンダは、かつて英国のチャーチル首相が「アフリカの真珠」などと呼んで,その美しさを讃えた国。(この国は良く見ると,アフリカ大陸を縮小したような形をしている。)
 
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                  ↑「アフリカの真珠」ウガンダ地図

 国土面積は本州ほど,人口は2880万人で、アルバート湖、キョウガ湖、ヴィクトリア湖を繋いで、白ナイル川が国の中央を横断する、水と緑に恵まれた白ナイル最上流地帯の国。
 国土の大部分は海抜1200m程度の肥沃で広大な高原地帯で,気候は温暖多雨。
 また、希少動物のマウンテンゴリラが生息していることで有名。
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                 ↑ ブウィンディ公園内のゴリラさん

 この国には現代のナイル河源流の地とされるビクトリア湖畔の「ジンジャの町」と,プトレマイオスの時代の伝説のナイル河源流地とされていた「月の山,ルエンゾリ山群(最高峰はマルゲリータ峰)」がある。
 
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                   ↑ 最高峰のマルゲリータ峰

 そのジンジャはウガンダの首都「カンパラ」から東に80km、ウガンダ第2の都市。
 ジンジャにある白ナイルの源流地へは、町から南西に3kmほど離れた「ナイル源流庭園」から船で行く。
 その道の入口には「ナイル川源流の碑」が設置されていて,碑には「この地点はナイル川がウガンダ,スーダン,エジプトを経て地中海に至る長い旅を始める場所を記念している」と記されている。
 
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                      ↑ ナイル川源流の碑

 船着場から小さな船に乗ってナイル川をヴィクトリア湖方向に10分ほど遡ると小さな島と対岸との間に川底からフツフツと水が湧き出ている場所がある。
 
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                       ↑  ナイルの源流地点

 その場所が、1862728日、探検家スピークによって発見されたナイルの源流である。
 ナイル源流の対岸地点にはスピーク・メモリアルと名付けられた塔が建てられていた。
 
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                     ↑  スピーク・メモリアル
 とうとう,ナイル河の旅は、現代のナイル源流の地まで辿り着いた。
 

 ビクトリア湖は代表的な古代湖であり,100万年の歴史と多くの固有種の生息する『ダーウィンの箱庭』で有名だが,近年ナイルパーチというスズキ亜目アカメ科の全長2mを超す肉食の外来魚が食用として放流定着,湖の固有種が激減している。
 
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                          ↑ ビクトリア湖 

 ナイルパーチによる生態系の破壊であり、生活体系の破壊も、同時に起こった。
 ドキュメンタリー映画『ダーウィンの悪夢』は、ウガンダのビクトリア湖を挟んで対岸の町,タンザニア・ムワンザが舞台。
 この小さな田舎町に,ナイルパーチ捕獲加工企業が進出してから,町はナイルパーチ輸出による「魚景気」に沸き出し,町は一大魚加工・輸出基地に姿を変えた。
 
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                ↑  ナイルパーチ(赤目科のスズキの仲間)

 仕事を求めて,町に様々な人々が集まり始める。
 職を求める男たち。
 魚を空輸する旧ソ連地域出身のパイロットたち,彼らを相手に売春する女たち。
 そういうことで、新たな産業は地域社会に雇用と富をもたらしたが,一方ですさまじい所得格差を招いた。
 職にありつけない男たちの間には暴力が,売春婦たちにはエイズが広がる。エイズで親を失い路上で眠るストリートチルドレンの間にはドラッグがあふれかえる。(ストリートチルドレンの平均寿命は幾つくらいなんだろうね。)   
 
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                  ↑  映画『ダーウィンの悪夢』から

 ムワンザ空港から毎日,魚満載の貨物機が欧州へ向け飛び立ち,戻る時には武器が運ばれてくる。(アフリカ各地の紛争で使われる。)
 歴史の流れの中で繰り返し行われて来たグローバリズムという魔物が,貧しくてもそれなりに幸せだった古き良き世界に襲いかかる。そのシステムに適応しなければ,滅亡が待っている。
 それは良いとか悪いとかを越えた,生存を賭けた生き物としての戦いに見える。(アフリカの現実が,深いところまで見えてきた。)
 

 
 東西の両グレート・リフト・バレーの真ん中に位置する大湖地域は,5万年前から石器時代の人々が狩猟・漁労を営んだ。
 5千年前頃,北からクシ系(アフロ・アジア語族)の人々が牧畜のための草を求めこの地に移動,そのあと,西からバンツー系(ニジェール・コンゴ語族)の人々が農耕文化を携え移動,さらにナイル系集団(ナイル・サハラ語族)も南下した。
 古くから肥沃な土地が広がり,さまざまな人種・民族・文化が入り混じって発展してきたウガンダ一帯に,やがて西からチュChwezi/Cwezi)と呼ばれる半ば伝説的牛牧民が侵入,(ここの先住達を征服し,その影響の元、この地にはブニョロ王国、ブガンダ王国,トロ王国,アンコーレ王国などが次々と起こり,覇を競った。
 
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                      ↑ ブニョロ王国の旗
 
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                       ↑ トロ王国の旗
   
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                        ↑ アンコーレ王国の旗

 これらの王国のうち,当初はブニョロ王国が強大だったが,17世紀半ばを頂点に衰え始め,代わって19世紀に台頭したのがブガンダ王国だった。
 ブガンダ王国は他の国と違って,王族にとらわれず,戦闘で功績のあった者を長官に任命して地方に配置し,長官を通じて地方を直接コントロールする中央集権を進め,官僚機構も整っていた。
 
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              ↑ 首都カンパラの歴代国王4人が葬られている墓所

 やがて19世紀後半に入ると近代化の波がこの地に押し寄せ、ヨーロッパ列強のアフリカ分割が始まり,アラブ商人によってイスラム教がもたらされ,同時にヨーロッパ人宣教師によってキリスト教がもたらされた。
 その後,この地はイギリスの保護領となり,ブガンダ王国は他の王国と同様,ウガンダ内の1王国として存在した。
 ウガンダは諸王国の緩やかな連合の形で,196210月,ムテサ2世が象徴的な大統領となり,イギリスから独立した。
 
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               ↑ 独立直後のムテサ2世大統領とオボデ首相

 その後,アミン大佐によりムテサ2世が国外追放となり,諸王国連立時代は終焉となり,オボテ大統領による統一ウガンダの時代となるが,そのオボテもアミン率いる軍隊に国外追放された。
 アミンは大統領となり1971年から1979年まで恐怖政治を敷く。
 

 
 このアミンが今回のスーパーダーティヒーローである。
  (どこか、マウンテンゴリラに似ています。)
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                           ↑ アミン大統領

 彼は猟奇的にして異常な人物で、軍人時代から捕虜の耳をそいだり、炭火で身体をあぶったり、人間に石油をかけて火をつけるたり、拷問と殺人でのし上がってきた人間。
 1971年から1979年までの大統領就任中も残虐な拷問と処刑を繰り返し、20万人とも30万人とも言われる犠牲者を出した。
 アミンの自宅の冷蔵庫には、いくつもの処刑した人物の生首が入っていたという。アミン夫人の元恋人のもの、自分自身の元恋人のもの、愛人のものなど、である。
 
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                     ↑ こんな感じで入っていた・・・

 時々冷蔵庫を開けて、それらの生首を見ては楽しんでいたと言われている。
 また、首を切断した胴体を川に投げ入れ、ワニにエサとして与えたりもしていたようだ。
 アミン自身も人肉を食べたことがあり、「人間の肉は何度か食ったが、塩辛い味だった。」という発言まで残している。(彼なら,アファール人の男性器狩りのように,「食人は我々の文化だ」といいそうですネ。)
 
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                     ↑ 映画「ラストキングオブスコットランド」

 ウガンダにあるマッキンディエ刑務所では、アミンみずからが考案した拷問方法で囚人が処刑された。
 たとえば、丸太にくくりつけられて逆さ吊りにされ、性器の部分には針金まで巻かれ、ほとんど死にかけている囚人を、呼び出された囚人たちがハンマーで撲殺する。(殺さなければ自分が殺されるので、囚人はやってしまう。)
 それらの処刑が終わると囚人たちは別室に移され、何日も食事を与えられない飢餓状態にさせられる。
 そして、何日か後に、わずかばかりの肉のかたまりが部屋の中に投げ込まれる。
 囚人たちは我先にと争って、その肉を手に入れ、夢中でかぶりつく。
 その光景を見ながら看守たちはこう言う。「その肉は何日か前にお前らが殺した仲間の肉だ。」と。  (アミンはこんなことばかりやっていたようだ。)

 アミンはまた元ヘビー級ボクシングのチャンピオンで,アントニオ猪木との異種格闘技戦も行う予定だった。(猪木負けると食べられた?
 
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                       ↑ 友情出演「アントニオ猪木」

 好き放題のことを行った猟奇的異常者(彼なら、「残酷は、わが国の文化なんだ」というかもね。)は、隣国タンザニアに支援された反政府ゲリラ「ウガンダ民族解放戦線」(アミンに追い出された前大統領のオボテが糸を引いていた。)に追い出され,国外逃亡となった。
 回教徒「アミン」は,リビア経由サウジアラビアへ亡命、2003年そこで死亡した。
 
 そのアミンの亡霊が、ウガンダで育っている。
 少年兵の問題はアフリカ各地で深刻だが、ウガンダはそれらの国のひとつである。
 ウガンダ北部の国境付近で活動するゲリラはLRALord'sResistance Army)、日本語で「神の抵抗軍」と名乗っている。、「神の抵抗軍」の3分の2は17歳以下の子ども兵士で構成されてる。   
 彼らは人民の十字軍と名乗っており、自分たちの活動は全て神の意志であり、人々のためであるといっている。
 
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                  ↑ 記者会見に臨むLRAのコニー司令官

 しかし、現実に彼らの行っていることは、少年の誘拐、性的な目的のための少女の略奪である。(ゲリラにとって少年の誘拐は兵士獲得のための常套手段である。)
 子供は脅しに弱く従順で、大人よりも逃亡することが少なく、心が純粋であればあるほど、洗脳すれば残忍な兵士に変身する。
 両親を殺され、誘拐され、拷問を受け、訓練され、数え切れない苦痛の中で誕生した少年兵は、自らがされたことを平気で行うような兵士に育っていく。
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                         ↑ LRAの兵士

 未来のアミンの誕生である。(兵士の銃は、たぶん、ナイルパーチを運んだ飛行機が持ってきた銃かもしれない。)


 ナイル河の旅は、世界の最短命地帯への旅。その到達点はやはり凄かった。

 平均寿命の総合的バロメーターである、国の平和度、経済事情、福祉状況、衛生状況のどれをとっても最悪の国々が立ちはだかる。
 幸せな状態とはかけ離れた世界が目の前に広がっている。
 「ハンガーマップ(Hunger Map)」は真赤、過酷な世界である。
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 生きるために想像以上の努力を強いられる国が、アフリカの他にも世界には沢山ある。
 こんな場所では、生き抜くことが最重要課題となる。

 
 ここで、問題です。

  LRAの活動が盛んなウガンダの村の子ども達は、毎晩あることをしてLRAの毒牙から自分を守っている。
 それは、次のどれですか?

 1  村の呪術師の家に全員集まり、そこで眠る。LRAは呪術師には手を出さないから。

 2  夜になると、村の学校に集まり、体育館で寝泊りする。監視は、親が交代で行っている。

 3  比較的安全な大都市へ母親と一緒に毎晩家を発ち、何時間も歩く。夜明けには再び自宅へ歩    いて帰る。寝泊りはベランダの下、学校、病院の中庭、バスの停留所など。


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